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ISO認定機関とは?認証機関との違いと受審先の選び方を解説

ISO認証に関わる機関として「ISO認定機関」と「ISO認証機関(審査機関)」が挙げられます。両者は混同されやすいものの、役割には差異があります。

ISO認証の取得にあたり、両者の役割を正確に理解しておくことは不可欠です。

本記事では、ISO認定機関の定義と役割を整理し、世界および日本における代表的な認定機関を紹介するとともに、ISO認証機関との違いや受審先を選ぶ際のポイントについて解説します。

ISO認定機関とは

ISO認定機関とは、各国において唯一の国家的権限を有し、ISO認証を実施する「認証機関(審査機関)を審査・承認する組織」です。以下では、ISO認定機関の役割と業務について解説します。

ISO認定機関の役割

ISO認定機関は、各国を代表して設置される唯一の機関であり、ISO認証を発行する認証機関を審査・認定する役割を担います。認定機関は、認証機関が国際規格に基づいた適正な審査体制を有しているかを評価し、その信頼性を保証します。これにより、企業・組織が取得したISO認証の国際的な通用性が担保され、国内外の事業活動における信用力強化を間接的に支援する仕組みが形成されています。

ISO認定機関の業務

ISO認定機関の業務は、企業・組織がISO認証を取得する際に、審査を実施する認証機関の能力、および運営体制の厳格な評価と国際的な基準への適合性の確認です。定期的な監査を通じて認証機関の審査品質を維持し、公平性を確保します。また、国際的な相互承認の枠組みへの参画により、他国における認証の有効性を保つ体制を構築しています。

おもな世界のISO認定機関一覧

以下では、おもな世界のISO認定機関を紹介します。

SCC(Standards Council of Canada)

SCC(カナダ標準評議会)は、カナダ政府が設立した国家認定機関です。各種マネジメントシステムの認証機関、および試験所を対象に認定審査を実施します。ISO・IECなど国際標準化活動に参画しており、カナダ国内外における認証制度の国際的な信頼性を保証しています。なお、弊社QFSはSCCによる認定を受けている認証機関(審査機関)です。

ANAB(ANSI National Accreditation Board)

ANAB(米国適合性認定機関)は、アメリカにおける国家的認定機関です。試験所、検査機関、認証機関など幅広い分野を対象に認定を行っています。米国内最大規模の認定機関として、ISO認証の信頼性と国際的な整合性を確保に努めている組織です。

UKAS(United Kingdom Accreditation Service)

UKAS(英国認定機関)は、イギリスで唯一の国家認定機関です。政府の正式な承認を受けており、製品試験、検査、校正、マネジメントシステムなど多岐にわたる分野を対象に認定を行い、ISO認証の公的信頼性を担保しています。

DAkkS(Deutsche Akkreditierungsstelle)

DAkkS(ドイツ認定機関)は、ドイツ連邦政府により設立された唯一の国家認定機関です。EU規制・国際基準に基づいて認証機関および試験所を審査します。国内外でのISO認証の整合性維持により、欧州域内での信頼性確保に大きく寄与しています。

CNAS(China National Accreditation Service for Conformity Assessment)

CNAS(中国合格評定国家認可委員会)は、中国における国家認定機関です。試験所、校正機関、マネジメントシステムの認証機関を対象に認定を実施しています。国際的な相互承認協定に参画し、中国発のISO認証が海外でも通用するよう、信頼性の高い制度運営を行っている組織です。

JAS-ANZ(Joint Accreditation System of Australia and New Zealand)

JAS-ANZ(オーストラリア・ニュージーランド合同認定機関)は、オーストラリアとニュージーランドが共同で設立した認定機関です。両国政府から承認を受けており、幅広い分野で認証機関の認定を行うとともに、国際的な相互承認にも積極的に参画し、国際的な信頼性を高めています。

日本にあるISO認定機関

ISO認定機関は原則各国に一機関ずつ設けられていますが、日本には日本適合性認定協会(JAB)と一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)の2つが存在しています。

日本適合性認定協会(JAB)

日本適合性認定協会(JAB)は、ISO認定機関です。認証機関(審査機関)、試験所、校正機関などを対象に認定を行っています。国際的な相互承認枠組みであるIAF MLAおよびILAC MRAの署名メンバーであり、相互承認による国際的信頼性の向上にも努めています。

日本国内で発行されたISO認証が、海外でも通用するものとなるよう信頼性の基盤を支える組織です。JABによる認定は、公平性と信頼性を担保する仕組みとして、国内外の産業界における重要な役割を果たしています。

一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)について

日本においては、公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)がISO9001やISO14001をはじめとするさまざまなISOマネジメントシステム規格の認証機関の認定を担当しています。一方、情報セキュリティのISO27001に関しては、JABに加え、ISMS-ACも認定機関として活動しています。

なお、国内で審査活動している認証機関の中には、海外の認定機関から認定を受けているケースもありますが、その場合でも、ISMS-ACやJABによる認定の場合の認証と同様に、信頼性の高い認証として広く認められています。

ISO認定機関とISO認証機関の違い

企業・組織がISO認証を取得する際、審査を受けるのはISO認定機関ではなく、「ISO認証機関」です。以下では、ISO認定機関とISO認証機関の違い、関係性について解説します。

ISO認証機関とは

ISO認証機関とは、企業・組織が構築したマネジメントシステムが国際規格であるISOの要求事項に適合しているかを審査し、認証を発行する審査機関を指します。

一般的には「ISO審査機関」と呼ばれており、品質(ISO9001)や環境(ISO14001)、情報セキュリティ(ISO27001)など規格ごとに専門的な審査を行い、認証書を交付する組織です。ISO認証機関による評価・承認を得れば、ISO認証を取得した企業・組織として公表できます。

ISO認定機関とISO認証機関の違いと関係性

ISO認定機関とISO認証機関が担う役割および審査対象、成果物の違いは以下のとおりです。

区分 ISO認定機関 ISO認証機関
役割 認証機関を審査・承認し、その審査能力と公平性を保証する 企業や組織を審査し、規格要求事項への適合を確認する
対象 ISO認証機関、試験所、校正機関など 企業・組織(製造業、サービス業、公共機関など)
成果物 認証機関に対する「認定証」 企業・組織に対する「ISO認証書」

ISO認定機関は、ISO認証機関を監督し、その審査能力および公平性を国際的基準に照らして承認する役割を担います。

一方でISO認証機関は、実際に企業・組織を対象に審査を行い、ISO規格への適合が確認された場合にISO認証書を発行します。認定機関が認証機関を承認し、各国での認証の国際的信頼性と通用性が確保される仕組みです。

受審するISO認証機関(審査機関)の選び方

企業・組織がISO認証を取得するにあたり、受審先となるISO認証機関は、以下の基準で選定する必要があります。

認定機関からの認定の有無

ISO認証の取得にあたり、受審する認証機関の選定において、基本的かつ重要な確認事項が「認定機関からの認定の有無」です。ここでいう認定とは、各国政府や当局により承認されたISO認定機関が、認証機関の審査能力や公平性を国際規格に基づいて評価・承認するプロセスを指します。この認定を受けた認証機関が発行するISO認証書は、IAF(国際認定フォーラム)の相互承認協定(MLA)などを通じて国際的に信頼され、各国で通用するものとなります。

そのため認定機関による認定を受けた認証機関が発行するISO認証書の信頼性は高く、ISO認証を取得した企業・組織として世界各国で通用します。一方で、認定を受けていない機関の認証は、国際的には「信頼性が低い」と判断され、取引先に受け入れられないリスクが伴います。企業・組織がグローバルな事業活動を行ううえで、受審先を検討するには、認定機関による認定承認を得た認証機関の選定が不可欠です。

対象規格の審査実績

ISOには、品質マネジメント(ISO9001)、環境マネジメント(ISO14001)、情報セキュリティマネジメント(ISO27001)など多様な規格が存在し、規格に応じた専門性を必要とします。

ISO認証の取得に際して審査を委託する認証機関を選定する際には、対象とする規格に関する審査実績の確認が不可欠です。当該規格に関する豊富な実績を有する認証機関は、規格要求事項への深い理解に加え、過去の審査経験に基づく知見を活かし、実務的かつ有益な改善提案を行うことが可能です。

これにより、単なる適合確認にとどまらず、組織にとって価値ある審査プロセスが実現されることが期待されます。一方、実績の乏しい認証機関では、形式的な審査にとどまり、経営改善につながらない恐れがあります。審査の質を左右する要素となるため、対象規格における経験値を重視した認証機関の選定が肝要です。

業界知識と専門性

認証機関を選ぶ際、対象業界に精通した審査員を有しているかを見極めるのも比較基準となります。業界特有のリスクおよび法規制に精通している認証機関でなければ、実態に即した審査・改善提案を受けることは困難です。

例えば、製造業では品質管理手法への理解が、医療分野では関連法規およびリスクマネジメントの知識が求められます。このような業界知識を備えた審査員が在籍する認証機関の選定により、形式的な認証取得にとどまらず、認証審査を通じて企業・組織の実効性ある改善につなげられます。

費用体系の明確さ

ISO認証取得には、申請料、審査料、登録料、更新費用など複数の費用が発生します。そのため、費用体系が明確に提示されている認証機関を選ぶのも、受審先比較において不可欠な要素です。

ISO認証は、取得費用のみならず、定期的に実施される維持審査(サーベイランス審査)、更新審査にも費用負担が生じます。料金項目が不透明な場合、予期せぬ追加費用が発生し、長期的なコスト負担が大きな影響を及ぼす可能性があります。

見積もりの段階で、初回審査から更新審査までの総額見積もりを把握できる認証機関の選定が肝要です。費用の透明性は、認証機関の信頼性および誠実性を測る一つの指標ともなります。

関連記事:ISO規格の審査費用(取得審査・維持審査・更新審査)の目安|認証取得・維持にかかる費用を解説

審査の透明性と公平性

ISO認証の信頼性は、審査の透明かつ公平な実施により担保されます。認証機関が自らの利益、顧客との利害関係に左右されるようでは、公正な審査は期待できません。

そのため、認証機関が認定機関のガイドラインおよび国際的な審査原則に則り、独立性を確保しているかを確認する必要があります。

加えて、審査手順、判断基準が明示されているか、過去の実績確認なども踏まえたうえでの判断が必要です。認証機関の透明性と公平性の高さは、認証の社会的信頼を支える根幹であり、取得したISO認証の国際的信頼性の担保にも影響を及ぼします。

総括

本記事では、ISO認定機関の役割、世界・日本の認定機関の情報、ISO認証機関との違い・選び方について体系的に解説しました。

ISO認定機関と認証機関の役割を正しく理解し、信頼性ある認証機関の選定により、国際的に通用するISO認証取得、および実効性ある管理体制の改善が実現します。

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