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ISO認証機関とは?代表的な機関一覧と役割や選び方について解説

ISO認証機関は、国際標準化機構(ISO)が作成した国際規格に基づき、企業・組織のマネジメントシステムが適切に構築・運用されているかを第三者として審査し、認証を行う機関です。

国際標準化機構(ISO)自体は規格の制定のみを担っており、審査および認証業務は行いません。そのため、ISO認証の取得・維持において、ISO認証機関は不可欠な組織であり、世界各国にさまざまな認証機関が存在しています。

本記事では、ISO認証機関の基本的な役割、認定機関との違い、世界の代表的な認証機関についての紹介に加え、選定時に確認すべき比較ポイント、および認証審査の具体的な流れについて体系的に解説します。

ISO認証機関とは?

ISO認証機関とは、企業・組織のマネジメントシステムが国際標準化機構(ISO)によって定められた規格に適合しているかを第三者として審査し、認証を発行する専門機関です。
以下では、認証機関の概要、ならびに「ISO認定機関」との違いについて解説します。

ISO認証機関の概要

ISO認証機関は、企業・組織における管理体制が、国際標準化機構(ISO)が定めた国際規格に適合しているかを独立した立場から審査し、認証を付与します。企業・組織におけるマネジメントシステムの運用状況を客観的に評価する必要があり、公平性・透明性が求められます。ISO認証の信頼性は認証機関の力量にも左右されるため、認証取得にあたっては実績と審査対象の産業分野に対する専門知識を有する機関の選定が不可欠です。

ISO認定機関との違い

ISO認証機関が、企業・組織がISO規格に適合しているかを審査し、認証書を発行する第三者機関であるのに対し、ISO認定機関は、認証機関の審査能力・組織管理体制を評価する機関です。国際基準に基づいて、認証機関に対する「認定」を与える立場に位置付けられます。

認定機関は、認証機関の審査手順の妥当性を含めた審査能力全般について継続的に確認し、審査と審査によって付与される認証の質を保証します。つまり、企業を審査するのが認証機関であり、認証機関を審査するのが認定機関という階層構造になっています。これにより、認証機関の審査能力が裏付けられ、信頼性の高い認証制度が維持される仕組みです。

関連記事:ISO認定機関とは?認証機関との違いと受審先の選び方を解説

ISO認証機関の役割とは?

ISO認証機関の役割とは、企業や組織が国際規格(ISO規格)に基づいた適切なマネジメントシステムを構築・運用しているか、第三者の立場で審査・証明することです。審査では、企業・組織のマネジメントシステムが、ISO規格の要求事項に適合しているかを多角的に検証します。

以下では、ISO認証機関が担う役割として、審査対応および認証機関が実施しているその他の実務について解説します。

ISO認証審査の実施

ISO認証審査は、企業・組織がISO規格に基づいて構築したマネジメントシステムを適切に構築し、運用しているかを、審査を通じて体系的に評価します。ISO認証審査は、第一段階審査と第二段階審査に分けて段階的に実施され、通常、第一段階審査では構築されたマネジメントシステム・文書類がISO規格の要求事項に適合しているかを確認します。

一方、第二段階審査では、構築のみならず運用面についても確認するため、現場業務におけるマネジメントシステムの運用状況が審査対象です。以前までは、第一段階審査で文書審査、第二段階審査で実地審査が行われていましたが、手順書・規定書類の文書化が必須ではなくなった影響から、近年では第一段階審査でも審査員による実地審査が行われる傾向にあります。

第一段階審査で要求事項に対して適合していない事実が確認された場合、第二段階審査で不適合となる可能性のある懸念事項として指摘されます。この懸念事項に対し修正および是正対応を実施したのち、第二段階審査へ移行する流れです。なお、懸念事項の内容が重大だった場合、第二段階審査の時期を当初予定より、遅らせることがあります。

第二段階審査で、要求事項に対して適合していない事実が見つかった場合、不適合として指摘され、是正処置が求められます。企業・組織は、期限内に是正処置報告書・是正処置計画書を提出し、その内容をISO認証機関が評価し、問題がなければ認証が付与されます。
ISO認証審査の実施には、公平性と客観性の確保が必須です。豊富な実績と対象業種に対する深い知識が求められるため、認証機関の力量は認証の信頼性にも大きく影響します。

関連記事:ISO審査とは?費用や審査の流れ、不適合の定義などを幅広く解説

定期審査(サーベイランス審査)・更新審査の実施

ISO認証機関は、認証取得後の定期審査(サーベイランス審査)・更新審査も実施します。ISO認証の信頼性を担保する意味で、ISO規格の要求事項への適合状況を継続的に確認する必要があるため、認証機関は認証を付与した後、年1回以上の定期審査(サーベイランス審査)と3年ごとの更新審査を行います。

定期審査(サーベイランス審査)は、新規認証審査や更新審査(再認証審査)と比較して、時間が短いため、規格要求事項のすべてを審査することは共有されていないため、重要な活動から順に確認が行われます。主な確認項目としては、前回審査以降の変化・変更、マネジメントレビュー、内部監査、ISMSの監視、改善活動、是正処置の実施状況などです。一方、更新審査では初回審査に近い範囲で全体を評価し、マネジメントシステムが継続的に有効に機能しているかを評価します。

ISO認証は、企業・組織が認証を取得した後も、継続的に形骸化したマネジメントシステムの運用、および改善の停滞が早期に把握される制度のため、変化する経営環境の中でも有効に機能する仕組みとなっています。ISO認証機関による審査は、企業・組織のマネジメントシステム維持を支援する役割を担っているのです。

関連記事:サーベイランス審査(定期審査)とは?ISO認証の仕組みや審査の流れと対応方法を解説

認証登録・公開情報の管理

ISO認証機関は、認証の信頼性を保つために、審査結果に基づいて認証登録を行うとともに、登録情報を適正に管理します。審査を経て発行されるISOの認証書には、認証範囲、認証番号、有効期限、適用宣言書の版数や発行日(ISO/IEC27001の場合)などが記載されており、これらの情報を最新の状態に維持するのも、ISO認証機関の役割です。

また、企業・組織における認証の有効性および適用範囲に変更が発生した場合には、公開情報・公開リストに速やかに反映する必要があります。企業・組織による不正な認証マークの使用、誤解を招く表示が行われないよう、適用ルールに基づいた管理も求められます。

さらに、利害関係者が認証の真偽を確認できる状態を維持するために、公開データベースを整備して透明性を確保する対応も不可欠です。ISO認証機関におけるこれらの管理業務によって、ISO認証制度全体の信頼性が維持され、認証取得企業・組織の取引先に対する正確な情報提供を実現しています。

認定機関との連携

ISO認証機関は、自身の審査能力および運用体制が国際基準に適合していることを示すため、認定機関による認定審査・評価を定期的・継続的に受けています。認定機関は、認証機関が公平性・独立性を保ち、適正な手順に基づいて審査を実施しているかを多面的に確認し、評価された場合に認証審査を実施し認証登録を行う機関として認定を付与します。

ISO認証機関としての認定は一度で終わるものではなく、定期的な認定審査を通じて維持される仕組みです。認証機関は、認定機関から得た指摘事項を踏まえ、審査手順・内部管理体制の改善を実施します。認証機関と認定機関の連携によって、ISO認証の審査品質が継続的に向上し、結果として企業・組織が取得する認証の信頼性維持に貢献しています。

代表的なISO認証機関

ISO認証機関は、世界各国ならびに日本国内に複数存在し、企業・組織のマネジメントシステム運用およびISO認証の取得を後押ししています。以下では、代表的なISO認証機関を紹介します。

株式会社QFS japan

弊社、株式会社QFS Japanは、国際的な認定を受けた認証機関です。ISO9001、ISO14001、ISO27001など、幅広い規格の審査を提供しています。中小規模の企業から大規模組織まで対応しており、審査の特徴として、マネジメントシステムの導入効果につながるよう、実務的な運用体制に関する指摘に重点を置いています。

また、審査プロセスの透明性を重視しており、審査を希望する企業・組織には充実かつ迅速な営業対応体制を整えていることから、初めてISO認証を取得する場合も広く支持されている認証機関です。
加えて、新規認証から初回の再認証審査までは原則同じ審査員を配置し、認証組織に“同じ審査員が担当する安心感”を提供し、さらに複数拠点の審査ならびに短期間での認証取得にも柔軟に対応しており、実務に即した審査を重視する企業・組織から高く評価されています。

一般財団法人日本品質保証機構 (JQA)

一般財団法人日本品質保証機構(JQA)は、日本最大級の認証機関として知られ、ISO9001・ISO14001をはじめ、幅広い規格の審査を提供しています。国内外のネットワークを有するため、グローバル展開企業の認証取得において強みがあります。審査だけでなく、教育・研修事業も行っており、継続的改善に向けた総合的な支援を提供している点が特徴です。

日本検査キューエイ株式会社 (JICQA)

日本検査キューエイ株式会社(JICQA)は、ISO9001、ISO14001、ISO45001など多様な規格に対応する認証機関です。製造業・建設業など、実務要件を抱える分野での豊富な審査実績を持ち、現場に即した評価を行っています。審査員の専門性に基づく具体的な指摘が特徴で、企業・組織のマネジメントシステム改善につながる実践的な審査を提供しています。

株式会社マネジメントシステム評価センター (MSA)

株式会社マネジメントシステム評価センター(MSA)は、ISO9001、ISO14001、ISO27001など主要なマネジメントシステム規格の審査を実施する認証機関です。業界横断的な審査経験を有し、企業・組織規模を問わず適切な審査を行う体制を整えています。審査では、企業・組織の運用実態を丁寧に確認する姿勢を重視しており、改善につながる指摘が得られる点が評価されています。

BSIグループジャパン株式会社

BSIグループジャパン株式会社は、英国に本部を置く世界有数の認証機関BSIグループの日本法人です。ISO9001、ISO14001、ISO45001、ISO27001など主要規格に幅広く対応し、グローバルで統一された審査品質を提供しています。リスクベースの視点を取り入れた審査アプローチを重視し、企業・組織の管理レベルを体系的に評価する点も特色です。

ISO認証機関の選び方・比較ポイント

ISO認証機関の選び方、および比較する際に重視すべき点は以下のとおりです。

  • 認証機関の認定スコープはどうか
  • ISO規格に対する専門性・実績はあるか
  • 審査の形式性に偏らず実効性を確認しているか
  • 費用は明瞭かつ妥当か

以下では、ISO認証機関の選び方と比較ポイントについて、上記項目を重視すべき理由を踏まえて解説します。

認証機関の認定スコープはどうか

認証機関を選定する際には、その認証機関が自社・自組織の業種をカバーしているか、認定スコープの確認が必要です。ISO認証機関には、認定機関からの認定にともない、どの規格・業種に対して審査を行えるかを示す認定スコープが付与されます。

認定スコープが広い機関は、多様な業種、規模の企業・組織を対象とした豊富な審査実績を持つ傾向があります。加えて、海外の認定機関による認定を持つ認証機関であれば、国際取引における認証の通用性が高まる場合もあるため、事前に比較すべき点です。

ISO規格に対する専門性・実績はあるか

ISO規格に対する専門性・実績も、ISO認証機関を選定する際に比較しておくべき点です。ISO認証機関の審査品質は、担当する審査員の専門性および機関全体の実績に大きく左右されます。自社・自組織が属する業界に関する知識を持つ審査員が担当する場合、規格要求と実務の双方を踏まえた妥当な評価が期待できます。

また、同業種での審査経験が豊富な認証機関は、業務特性に応じたリスクおよび管理ポイント等を的確に把握している傾向があり、偏りのない審査を実施できる特徴もあります。導入事例、審査実績の公開状況などを参考に、規格理解と業界知識の両方を有する機関を選べば、審査における現場対応の円滑化のみならず、審査を通してのマネジメントシステムの有効性向上にも寄与します。

審査の形式性に偏らず実効性を確認しているか

ISO認証機関を選ぶ際は、実効性を重視した審査を行う機関かを見極めるのも重要な比較要素です。認証機関によっては、規格要求のチェックリストに依存した形式的な審査に終始するケースがあります。一方で、実効性を重視した審査を行う機関であれば、文書・規程類の整備状況だけでなく、実際の業務運用が規格要求に適合し、改善につながる仕組みとして機能しているかを総合的に評価します。

形骸化したマネジメントシステムの運用、形だけのルールに対しても具体的な改善点を示す姿勢がある認証機関は、企業・組織のマネジメントレベル向上に寄与します。審査報告書の項目内容、これまでの指摘傾向を確認するなど、形式性ではなく実効性を重視する機関かという視点での判断が肝要です。

費用は明瞭かつ妥当か

ISO認証機関に審査を依頼する際の費用おいて、見積内容の明瞭性と価格の妥当性は重要な比較基準です。認証取得および維持にかかる費用は、主に、組織規模、審査範囲、業種特性などによって、審査総日数(審査員人数×審査日数)に基づく審査費用と認証の登録費用が算出されます。費用項目が不透明な場合、追加料金が発生する可能性があります。

また、極端に低価格の認証機関は審査品質に懸念が生じるため、価格のみで判断するのは適切ではありません。費用の内訳・詳細についての丁寧な説明を含めた適正な価格の提示は、定期審査(サーベイランス審査)・更新審査などの継続的な依頼を判断するにあたり、安心材料となります。

関連記事:ISO規格の審査費用(取得審査・維持審査・更新審査)の目安|認証取得・維持にかかる費用を解説

ISO認証審査の流れ

ISO認証審査を実施する際の流れは、以下のとおりです。

  1. ISO認証機関の複数選定
  2. 複数の認証機関にヒアリング・概算見積作成を依頼
  3. 認証機関の決定
  4. クライアント申請フォームの記入
  5. クライアント申請フォームのレビュー
  6. 本見積
  7. 契約
  8. 審査員のアサイン
  9. 審査日程調整
  10. 第一段階審査の実施
  11. 第二段階審査の実施
  12. 是正処置
  13. 認証発行

ISO認証審査が第一段階審査と第二段階審査に分けて段階的に実施されるのは、文書整備状況と運用実態を段階的に確認する目的があるためです。第一段階審査では、主に規程・記録・文書類の整合性を確認し、第二段階審査で現場運用の有効性を評価します。

認証取得後は、年1回以上の定期審査(サーベイランス審査)で継続運用が検証され、3年ごとの更新審査により長期的な有効性が確認されます。これら一連の審査プロセスによって、認証の信頼性が維持される仕組みです。

関連記事:ISO審査の流れを解説|認証取得までの流れや必要な準備とは?

総括

本記事では、ISO認証機関とはどのような機関なのか、認定機関との違い、役割、選び方について解説しました。

ISO認証は取得後の維持も含めて長期的な取組みとなるため、自社・自組織に適した認証機関の選定が不可欠です。信頼性の高い審査体制を有する認証機関への審査の依頼は、継続的なマネジメントシステムの運用における強化にも寄与します。

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