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ISOとは、国際標準化機構という、世界共通のルールを作っている団体のことです。ISOが定めたルールは「ISO規格」と呼ばれ、世界各国で数多くの企業・組織が仕事の進め方を整えるために活用しています。
その背景には、近年、事業活動を取り巻く環境が変化するなかで、品質管理、情報セキュリティ、環境対応など企業・組織に求められる管理レベルが高まっている影響があります。ISOは、こうした管理・対応に関する取り組みを仕組みとして整えるための枠組みです。単なる認証取得が目的ではなく、組織運営を継続的に改善するための基盤といえます。
本記事では、ISOやISO規格とはなにか、基礎知識から主要なISO規格の種類、認証取得のメリットや取得までの流れについて、これから初めて認証取得を検討している企業・組織向けの入門編として、体系的に解説します。
ISOとは?
ISOとは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)と呼ばれる、国際的な標準を策定するためにスイスに本部を置く国際的な標準化団体です。ここでいうISOは規格名ではなく、品質、環境、情報セキュリティなど、さまざまな分野の国際規格を開発・発行する団体名称を意味します。このISOが定めた国際規格が「ISO規格」です。
企業・組織が、ISO規格の要求事項に適合するマネジメントシステムを構築し、第三者機関による審査を経て認証を取得すれば、認証範囲として定めた活動について、国際規格の要求事項に適合していることを対外的に示せます。
ISO規格は、業種・組織規模を問わず活用できる汎用性を有し、業務プロセスの標準化、リスク管理、継続的改善を体系的に進めるための基盤として機能する仕組みです。認証取得が最終目的ではなく、企業・組織運営の安定化、および信頼性向上を支える実務的なマネジメント手法として位置付けられています。
ISO規格とは?ISO認証制度について
ISO規格とは、企業・組織のマネジメントシステムの在り方に関する要求事項を定めた国際規格です。一方、ISO認証制度とは、そのルールに合っているかを第三者が審査する仕組みを指します。ISO規格そのものはルールであり、ISO認証制度は各規格への適合性を審査・認証する仕組みを指します。
企業・組織は第三者審査機関による審査を受け、要求事項を満たしていると判断された場合にISO認証を取得できます。取得により、企業・組織は、自らの管理体制が国際的に通用する状態であると対外的に提示可能です。
ISO認証の目的
ISO認証の目的は、企業・組織の管理体制が国際規格に基づいてきちんと運用され、継続的改善の仕組みが運用されていると第三者が確認することです。単なるルール整備ではなく、業務プロセスの標準化、リスク管理、品質およびサービス水準の安定化などが主な狙いです。
また、ISO認証の取得は、取引先・顧客からの信頼性向上にも寄与します。ISO認証は、対外的な信用確保と同時に、内部の業務改善を継続的に進めるための実務的な仕組みとして機能する基盤づくりも目的としています。
ISO規格とJIS規格の違い
ISO規格とJIS規格の違いは、ISO規格は世界共通の基準、JIS規格は日本国内向けの基準という点にあります。ISO規格は国際標準化機構が策定する国際規格であり、世界共通の基準として活用されます。一方、JIS規格は日本産業規格として、日本国内の産業および法制度に即して定められた国家規格です。
ISO規格には工業規格とマネジメントシステム規格の両方があり、国際取引の共通基準として広く用いられるのに対し、JIS規格は製品規格や試験方法など国内実務に密着した内容が多い点が特徴です。目的・活用場面に応じた使い分けが求められます。
ISO規格の工業規格とマネジメントシステム規格とは?

ISO規格の工業規格とマネジメントシステム規格とは、製品・材料など「モノ」の仕様を定める規格と、企業・組織の業務運営および管理体制を定める規格に大別されるものです。工業規格は製品の品質・性能の統一を目的とし、マネジメントシステム規格は業務プロセスおよび管理の仕組みを評価対象とします。
両者は目的・適用範囲が異なり、ISO審査および認証取得の対象となるのは主にマネジメントシステム規格です。以下では、ISO規格における工業規格とマネジメント規格について、各役割と違いを解説します。
工業規格
工業規格とは、製品、部品・材料、試験方法などの仕様および基準を定めたISO規格です。「モノ規格」とも呼ばれており、寸法、性能、品質特性、安全性などを統一し、製品の互換性および品質の均一化を図る目的があります。
工業規格は製造業を中心に活用される場合が多く、国際取引においても共通の基準として機能します。なお、工業規格の多くは製品認証、試験認証など別の適合性評価制度の対象となり、マネジメントシステム認証とは異なりますが、製品設計・品質管理の指針として利用される点が特徴です。
マネジメントシステム規格
マネジメントシステム規格とは、企業・組織の業務運営および管理体制の在り方を定めたISO規格を指します。製品そのものではなく、業務プロセスならびに管理方法を対象とする点が特徴です。
マネジメントシステム規格への適合により、業務の属人化によるばらつきを抑え、管理方法および評価時の判断基準などが均一化します。マネジメントシステム規格は、第三者認証の対象であり、認証の取得は企業・組織の信頼性向上および継続的改善を促す基盤となります。
おもなISO規格の種類
おもなISO規格の種類は、以下のとおりです。
| 工業規格 | マネジメントシステム規格 |
|---|---|
| ISO 216 用紙サイズの国際標準 |
ISO 9001 品質マネジメントシステム(QMS)規格 |
| ISO 7010 安全標識のデザイン規格 |
ISO 27001 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)規格 |
| ISO 14020 環境ラベル・環境表示に関する規格 |
ISO 14001 環境マネジメントシステム(EMS)規格 |
| ISO 128 技術製図の表記ルール |
ISO 45001 労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)規格 |
| ISO 8583 金融取引メッセージ仕様 |
ISO 22000 食品安全マネジメントシステム(FSMS)規格 |
以下では、第三者機関による認証取得に関連するマネジメントシステム規格について、とくに需要が高い規格を紹介します。
ISO9001:品質マネジメントシステム(QMS)規格
ISO9001は、製品・サービスの品質を安定して提供するためのマネジメントシステムを定めた国際規格です。顧客要求事項を満たす仕組みを構築し、業務プロセスにおいて計画・実行・評価・改善の流れを継続する目的があります。
単なる品質管理活動にとどまらず、業務の流れ、役割分担を明確にし、属人化の防止および業務効率の向上にも寄与する規格です。また、内部監査・マネジメントレビューを通じて、該当部門のみならず、トップマネジメントによる意思決定を経た継続的改善の実施が求められます。業種、企業・組織規模を問わず導入しやすく、対外的な信頼性向上および取引条件の強化につながる規格として広く採用されています。
関連記事:ISO9001とは?わかりやすく規格の概要や取得するメリット・取得の流れ・費用の目安を解説
ISO27001:情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)規格
ISO27001は、情報資産を適切に保護するための管理体制を定めたマネジメントシステム規格です。情報の機密性・完全性・可用性(情報セキュリティの3要素CIA)を保護するためのリスクマネジメントを中核とし、リスクに基づいた情報セキュリティ管理体制の構築に寄与します。
技術的な対策だけでなく、組織的・人的・物理的な管理策も含めた体系的な管理体制を構築するための規格です。情報漏えい・サイバー攻撃などのリスクが高まる中、企業の規模・業種を問わず重要性が増しています。ISO27001認証の取得は、企業・組織における情報管理体制の信頼性を対外的に示す手段となります。
関連記事:【初心者向け】ISO27001とは?概要や仕組み・基礎知識を簡単に解説
ISO14001:環境マネジメントシステム(EMS)規格
ISO14001は、事業活動が環境に与える影響を把握し、環境負荷の低減を継続的に進めるためのマネジメントシステム規格です。法令順守を前提とし、省エネルギー、廃棄物削減、資源の有効活用などの取り組みについて、体系的な管理策の実施を目的としています。
ISO14001は、環境目標を設定したうえで計画的に改善を実施する点が特徴です。環境配慮への姿勢を明確に示せるため、認証取得により社会的評価の向上、および取引先からの信頼確保にも寄与します。持続可能な経営を実現するための基盤として、多くの企業・組織で活用されている規格です。
関連記事:ISO14001の環境側面とは?環境影響との違いと具体例について解説
ISO45001:労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)規格
ISO45001は、労働災害の防止と安全で健康的な職場環境の構築を目的としたマネジメントシステム規格です。従業員が直面する安全衛生上の危険源(hazard)を特定し、事故・健康障害を未然に防ぐための管理体制を整備します。
法令遵守に加え、現場のリスクアセスメントおよび管理体制の継続的な改善活動を重視する規格です。製造業・建設業に限らず、あらゆる業種に適用可能な規格であり、働く人の安全を組織的に守るための基盤づくり、ならびに従業員の労働環境を守る姿勢を示す手段として活用されています。
関連記事:建設業におけるISO認証の必要性とは?メリットと経営事項審査(経審)での加点の仕組みを解説
ISO22000:食品安全マネジメントシステム(FSMS)規格
ISO22000は、食品の安全性を確保するためのマネジメントシステム規格です。食品の製造・加工・流通の各段階における危害要因を管理し、安全な食品を継続的に提供することを目的としています。
HACCPの考え方を取り入れ、組織的に食品安全を管理する体制を構築する際に有効な手段の一つです。食品事故、クレームの防止につながるだけでなく、取引先および消費者からの信頼確保にも寄与します。食品関連事業者において重要性の高い規格です。
ISO認証を取得するメリット
ISO認証を取得するメリットは、以下の4項目です。
- 業務プロセスを可視化・標準化できる
- 取引先・顧客からの信頼性が向上する
- リスク管理・法令遵守体制の強化につながる
- 入札・取引機会の拡大につながる
以下では、上記4項目のメリットについて、ISO認証を取得しない場合と比較した場合の変化、取得によってもたらされる効果を解説します。
業務プロセスを可視化・標準化できる
ISO認証の取得により、業務プロセスの可視化、および企業・組織全体での標準化を進められるメリットが見込まれます。ISO規格では、業務の流れ、役割分担、管理方法を明確にし、文書化・記録化が求められます。
このプロセスにより、属人化していた業務が整理され、担当者の変更後も一定の品質・業務水準を維持できます。また、業務の無駄・課題の可視化も実現するため、改善点の客観的把握においても効果的です。結果として、業務効率の向上ならびに変化に左右されない安定した組織運営が実現します。
取引先・顧客からの信頼性が向上する
ISO認証の取得は、取引先・顧客からの信頼性向上においてもメリットが見込まれます。認証を取得している企業・組織は、国際規格に基づくマネジメント体制の構築・運用状況を第三者が証明している状態です。
認証の取得は、取引先・顧客に対して、品質管理、情報管理、環境配慮などへの取り組み姿勢を客観的に示す手段になります。とくに、新規取引・継続取引の場面では、信頼性を判断する材料の一つとみなされ、評価される可能性が高まります。さらに、管理水準の高さの証明にもなるため、対外的な信用力の向上にも有効です。
リスク管理・法令遵守体制の強化につながる
ISO認証の取得は、リスク管理や法令順守体制の強化につながります。ISO規格では、事業活動に伴うリスク及び機会を把握し、計画的に対応する仕組みの構築が求められます。
ISO規格が定める要求事項への適合により、トラブルを未然に抑止するだけでなく、問題発生時の対応力向上にも寄与します。また、関連する法令および規制を把握し、遵守状況を管理する体制の整備にも効果的です。ISO規格の要求事項における「リスク及び機会への取り組み」とも密接に関連しており、日常業務にリスク対応と法令遵守を定着させ、企業・組織全体の管理水準を引き上げる仕組みとして機能します。
関連記事:ISO規格における「リスク及び機会への取り組み」とは?定義や実践方法を解説
入札・取引機会の拡大につながる
ISO認証を取得は、入札・取引の機会の拡大につながるメリットも見込まれます。官公庁および大手企業の入札・取引条件では、ISO認証の取得を要件または評価項目としている場合があるためです。
認証を取得していなければ、入札参加資格が得られない場合もあれば、評価で競合と差別化できない可能性もあります。ISO認証は、企業・組織の管理体制ならびに信頼性を客観的に示す指標として活用されており、公共工事を含む取引の場において、事業機会を広げる上で有効な要素となります。
関連記事:ISO取得のメリット・デメリットとは?企業経営にもたらす効果を解説
ISO認証を取得する流れ

ISO認証を取得する際、一般的には以下の流れで対応します。
- ISO規格の選定と認証範囲の決定
- 現状分析と課題の洗い出し
- マネジメントシステムの構築・文書化
- 内部監査およびマネジメントレビューの実施
- 認証審査の受審と是正対応
- 認証取得後の定期審査(サーベイランス審査)・更新審査の受審
以下では、ISO認証取得までの流れにおいて、留意すべき点や具体的な対応内容について解説します。
1.ISO規格の選定と認証範囲の決定
自社・自組織の事業内容および取引先の要望などを踏まえ、取得するISO規格を選定します。あわせて、どの事業所や業務範囲を認証の対象にするのかを明確にし、マネジメントシステムを適用する範囲を定めます。マネジメントシステムそのものの「適用範囲」だけでなく、認証の可否を判断してもらう「認証範囲」の決定が不可欠です。
関連記事:ISOの「適用範囲」の決め方とは?認証範囲との違いと適用除外について解説
2.現状分析と課題の洗い出し
ISO規格の選定と認証範囲の決定を終えたら、自社・自組織の現状を把握し、ISO規格の要求事項との差分および課題を洗い出します。既存の業務ルール、運用状況を確認し、不足している仕組みと改善が必要な点を整理します。導入時の手戻りを防ぎ、効率的なマネジメントシステムの構築において不可欠なプロセスです。
3.マネジメントシステムの構築・文書化
現状分析で抽出した課題をもとに、ISO規格に沿ったマネジメントシステムを構築します。業務手順および管理方法を整理したうえで、必要な文書・記録の整備が求められます。実務に即した内容でマネジメントシステムを構築し、形骸化を抑止します。
4.内部監査およびマネジメントレビューの実施
認証審査の前に、構築した仕組みが適切に運用されているかを社内で確認するため、内部監査を実施します。その結果をもとに経営層が見直しを行い、改善の方向性を決定するマネジメントレビューを行います。マネジメントレビューは、内部監査の結果をもとに経営層が評価を実施し、改善の方向性を判断する工程です。内部監査およびマネジメントレビューの実施により、審査前の課題把握とトップマネジメントに意思決定に基づくマネジメントシステムの運用が可能となります。
関連記事:ISO内部監査とは?目的・進め方・質問例と実施する際のポイントについて解説
5.認証審査の受審と是正対応
ISOの認証審査では、第三者の審査機関がISO規格への適合性を確認します。審査で指摘事項が出た場合は、原因を分析し、是正対応を行う必要があります。適切な是正が完了すれば、ISO認証が取得できます。ただし状況によっては、現状を改善するために実施する応急的な是正だけでなく、再発防止のために根本原因を特定し、是正処置を講じることが求められます。
関連記事:ISOで求められる是正処置とは?要求事項に適合させるための対応手順と是正報告書の書き方
6.認証取得後の定期審査(サーベイランス審査)・更新審査の受審
ISO認証取得後も、マネジメントシステムの運用継続が肝要です。年に一回以上実施される定期審査(サーベイランス審査)、3年ごとに実施される更新審査を受審し、管理体制が維持・改善されていると証明する必要があります。ISO認証は取得して終わりではなく、継続的な運用が重要です。
関連記事:サーベイランス審査(定期審査)とは?ISO認証の仕組みや審査の流れと対応方法を解説
関連記事:ISO審査の流れを解説|認証取得までの流れや必要な準備とは?
総括
本記事では、ISOとはなにか、認証制度の基礎知識やISO規格のおもな種類、取得メリットや取得の流れについて解説しました。
ISO認証は、形式的な取得が目的ではなく、業務の標準化、法令遵守体制強化のリスク管理など、管理体制全般の強化を通じて、企業・組織の運営レベルを高めていくための仕組みです。
自社・自組織の課題・目的に応じて適切なISO規格を選定し、無理のない運用体制の構築が、認証取得後の継続的な改善と信頼性向上に寄与する基盤となります。
なお、ISO規格は定期的に見直され、改訂されます。例えば、ISO9001は1987年に初版が発行、1994年、2000年、2008年、2015年に改訂され、さらに2026年10月頃に改訂される予定です。また、ISO14001は2026年3月頃に改訂される予定です。
この記事の編集者
QFSjapan編集部
ISO審査・認証サービスを提供する「株式会社QFSjapan」が運営。ISOを新たに取得する方や、すでに運用中の方のお悩みや知りたいことを中心にお届けします。ISOの専門家として、信頼できる情報をISO初心者の方でも分かりやすくお伝えできるよう心掛けていきます。






