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サーベイランス審査(定期審査)とは?ISO認証の仕組みや審査の流れと対応方法を解説

サーベイランス審査(定期審査)は、企業・組織における継続的改善の状況について、第三者となる審査機関によって確認されるプロセスです。ISO認証は、取得した時点で完結するものではなく、継続的な運用と改善によって本来の価値を発揮するマネジメントシステムであり、認証を維持し続ける必要があります。

サーベイランス審査(定期審査)は、最低年1回実施されます。ISO認証の要求事項に対する理解、審査への準備不足は、サーベイランス審査(定期審査)の際に想定外の指摘を受ける要因です。

本記事では、サーベイランス審査の基本的な仕組み、審査の流れに加え、サーベイランス審査(定期審査)における事前準備のポイント、審査当日の対応方法について実務視点で解説します。

サーベイランス審査とは?

サーベイランス審査とは、ISO認証の維持のために定期的に実施される審査です。定期審査とも呼ばれ、認証取得後もマネジメントシステムが適切に運用され、継続的改善につながる体制の維持状況を審査されます。最低年1回以上実施されるもので、不適合の有無および是正処置、法令遵守状況などが確認され、認証維持の可否が判断される仕組みです。

以下では、サーベイランス審査の定義および目的、初回認証審査・更新審査との違いについて解説します。

サーベイランス審査の意味・目的

サーベイランス審査の実施には、マネジメントシステムが認証基準に沿って適切に運用され、継続的な改善が実施されているかを確認する目的があります。具体的な確認項目は、運用状況の適合性および不適合の是正状況、法令遵守、改善活動の進捗などを評価し、認証継続の可否判断などです。通常は最低年に1度以上実施され、審査結果に基づいて認証の継続可否が判断されます。

重大な不適合が認められた場合は、是正処置が求められ、後日、再審査で是正処置の実施状況が確認されます。是正処置が適切でないと判断された場合、認証の一時停止・取り消しの対象です。

関連記事:ISO認証取り消しの原因を解説|企業が受ける影響や対策とは?

ISO審査のサイクル

ISO審査は、通常3年を1サイクルとして構成されます。認証取得時に初回審査(認証審査)が実施され、認証取得後は、最低年に1回以上のサーベイランス審査(定期審査)を行います。サーベイランス審査は、マネジメントシステムの運用状況および改善の進捗を確認するため、要求事項すべてを対象とせず重要度の高い項目を中心に実施される審査です。

3年目には更新審査(再認証審査)が実施され、企業・組織全体のマネジメント体制における要求事項すべてに対する適合を改めて評価し、認証維持と次サイクルへの移行可否が判断されます。更新審査を経て適合状況が確認されれば認証は継続され、3年サイクルが新たに開始される流れにより、認証が継続される仕組みです。

初回認証審査・更新審査との違い

サーベイランス審査は、初回認証審査・更新審査と比べて、実施されるタイミング・頻度が異なります。初回認証審査や更新審査が一定期間ごとに実施されるのに対し、サーベイランス審査は、ISO9001認証取得後のマネジメントシステムを維持・確認するための審査として、原則として年に1回以上実施されます。例えば、初回認証審査は、ISO認証を取得するために初めて実施される審査であり、企業・組織におけるマネジメントシステム全体の適合性、および有効性を詳細に確認する工程です。更新審査(再認証審査)は、認証の有効期限満了前に実施され、初回認証審査と同様に要求事項全体を評価し、継続認証の可否を判断します。

サーベイランス審査は、認証取得後にマネジメントシステムが継続して適切に運用されているかを確認するための審査です。審査範囲は重要度の高い要求事項が中心となり、初回認証審査や更新審査のように要求事項すべてを対象としていないため、審査工数にも違いがあります。

関連記事:ISO審査とは?費用や審査の流れ、不適合の定義などを幅広く解説

サーベイランス審査で確認される主な項目

サーベイランス審査では、ISO規格との適合性が再確認されます。前述のとおり全項目にわたる審査は行われない一方で、不適合が確認された際に是正処置が求められる点はほかの審査と同様です。以下では、サーベイランス審査で確認される主な項目について解説します。

要求事項との適合性

サーベイランス審査では、ISOの要求事項に対する、企業・組織におけるマネジメントシステムの継続的な適合性が確認されます。内部監査およびマネジメントレビューの実施状況、指摘事項・不適合に対する是正処置の対応方法、目標管理・改善活動などが審査対象です。これらの項目が業務に落とし込まれ、継続的な改善につながる運用が定着しているかが焦点となります。

マネジメントシステムの運用状況

サーベイランス審査では、マネジメントシステムが日常業務に組み込まれ、継続的な運用が定着しているか、システムとしての有効性および運用状況が確認されます。手順書および記録の整備状況、責任・権限の明確化、教育訓練の実施、業務プロセスの監視・測定結果などが審査対象です。形式的な運用に終始せず、実務に根付いた運用がなされているかが重視されます。

内部監査およびマネジメントレビューの実施状況

サーベイランス審査では、内部監査およびマネジメントレビューの計画・実施状況が確認されます。内部監査では、マネジメントシステム全体の要求事項に対する適合性・有効性を評価し、不適合および改善点の明確化が必要です。マネジメントレビューでは、内部監査結果および業績指標をもとに、経営層がマネジメントシステムの継続的改善・方針の見直しを実施しているかが審査されます。

前回の不適合箇所への改善・対策の進捗状況

サーベイランス審査では、前回の審査で指摘された不適合に対する是正処置の適切な実施、および改善状況を重点的に確認します。応急的な修正処置にとどまらず、根本原因の特定・分析が行われ、再発防止策が有効に機能しているかが評価基準です。必要に応じて、是正処置に関連する記録・運用状況も確認され、対策の有効性および定着度・継続性が審査されます。

サーベイランス審査は、マネジメントシステムの継続的改善が見込めるかが焦点です。初回認証審査・更新審査とは異なり、重要度の高い項目から適合性が確認されます。ISO認証の維持は、マネジメントシステムの定着につながり、継続的な運用を通じて是正処置の件数減少、審査工数およびコストの削減にも寄与します。

サーベイランス審査の流れ

サーベイランス審査(定期審査)は、以下の流れで実施されます。

  1. ヒアリングに基づく概算見積書の作成
  2. クライアント申請フォームへの記入
  3. 申請内容のレビュー実施
  4. 本見積書の提示
  5. 契約書の締結
  6. 審査員のアサイン
  7. 審査日程の調整
  8. 審査の実施
  9. 必要に応じた是正処置の対応

基本的な審査の流れは、初回認証審査と同様です。初回認証審査では、第一段階・第二段階に分けて審査を実施しますが、サーベイランス審査は分けて実施せず、優先度の高い審査対象項目を中心に要求事項に対する適合状況が確認されます。

以下では、サーベイランス審査(定期審査)で確認される、評価項目および内容について解説します。

サーベイランス審査の内容

サーベイランス審査では、新規認証時と異なり、運用状況を中心に確認します。ISO規格における文書作成・保管義務の緩和が要因です。近年は、必要に応じて文書を作成・保管する方針が採られており、文書の有無に関わらず、マネジメントシステムが有効に構築・運用されているかを審査員が現地で直接確認します。

手順および構築されたマネジメントシステムの運用状況、関係者の理解度、責任の明確化など、マネジメントシステムが企業・組織に実務レベルで定着しているかが審査の焦点です。また、サーベイランス審査にかかる工数・時間および審査費用は、組織の規模(対象となる拠点や人員)や認証範囲の広さなどによって左右されます。審査費用の目安については、以下の記事を参照ください。

関連記事:ISO規格の審査費用(取得審査・維持審査・更新審査)の目安|認証取得・維持にかかる費用を解説

審査員からの質問・ヒアリングの進め方

サーベイランス審査における審査員からの質問・ヒアリングは、マネジメントシステムが日常業務の中で継続的かつ適切に運用されているかを確認する目的で行われます。質問内容は、必要文書・記録の有無を確認するだけでなく、実際の業務内容・運用状況に即したものが中心です。

例えば、定めたルールが現場でどのように実践されているか、業務上の課題・改善点をどのように把握し、対応しているかといった点が確認されます。審査員とのヒアリングは、単なる一問一答にとどまらず、対話を通じて運用の実態を把握する形式で進められる点が特徴です。

そのため、審査を受ける企業・組織側では、審査員から想定される質問・ヒアリング内容を事前に整理し、説明・証明に必要な資料の準備、および対応方法を検討しておく必要があります。

関連記事:ISO審査の質問内容を具体例と共に紹介|想定質問の作成方法や理想の対応例とは?

サーベイランス審査への対応方法

サーベイランス審査に対応するには、マネジメントシステムが日常業務の中で継続的に運用されている状況を、審査員に対して明確に示す必要があります。そのため、最新の手順書・記録を整理するとともに、審査員からの質問に対して、実務に即した内容で簡潔に回答するための準備が不可欠です。

また、前回審査での指摘事項・改善点については、その後の対応状況および実施した是正処置の効果を、具体的に説明できる状態にしておくことが重要です。以下では、サーベイランス審査の受審にあたり、企業・組織が講じておくべき対策や事前準備と、注意事項について解説します。

サーベイランス審査の前に必要な準備

サーベイランス審査に備えて、マネジメントシステムの運用状況を示す記録や、必要に応じて作成・保管された文書類を整理しておく必要があります。ISOでは文書作成は必須ではないため、業務に即した形で管理されていれば新たに作成する必要はありません。ただし、前回審査で不適合が見つかり、是正処置が必要になった場合は、不適合に対する是正処置の実施状況の記録が求められます。

また、サーベイランス審査では、現場責任者や関係者へのヒアリングが実施されます。審査対応を円滑化するためには、質問内容の想定と回答の事前確認・共有が不可欠です。

サーベイランス審査の対応における注意事項

初回認証審査では、審査対応に向けた準備が必要になる一方で、サーベイランス審査では特段の準備をせずに対応する必要があります。サーベイランス審査は、企業・組織におけるマネジメントシステムの運用実態を確認する目的で実施されるため、ISOの日常業務に対する浸透度が評価されます。

サーベイランス審査において、指摘事項および要求事項に対する不適合が発見されることは、マネジメント体制の見直しおよび改善を図るうえで有意義な機会です。サーベイランス審査本来の役割は、単なる認証維持にとどまらず、組織の日常業務がマネジメントシステムの要求事項に即して適切に運用されているかを評価する点にあります。継続的改善の観点からも、組織運営の質を高める重要な契機として位置付けられます。

サーベイランス審査でよくある指摘事項・不適合とは?

サーベイランス審査でよくある指摘事項・不適合とは、マネジメントシステムが定められたとおりに継続して運用されていない場合、および実際の運用状況と文書・記録の内容に差が生じている状況に対する指摘です。とくに、必要記録の未整備、更新漏れ、ルールの形骸化などは指摘されやすい傾向にあります。以下では、サーベイランス審査において、指摘されることが多い事項・不適合について解説します。

前回審査で指摘された不適合への是正・改善が不十分

前回審査で指摘された不適合に対する是正・改善が不十分な場合、サーベイランス審査で再度指摘される傾向にあります。例えば、是正処置が形式的な対応にとどまり、原因分析や再発防止策が十分に検討されていない場合などです。

また、是正対応完了としていても、その内容が実務上の運用に反映されていなければ、是正が不十分と判断される場合があります。サーベイランス審査では、是正内容が実務に反映され現場に定着しているか、さらに状況の変化を踏まえた管理が継続的に行われているかについて、説明できる状態が求められます。

関連記事:ISO不適合とは?定義・原因・対策方法と是正処置の進め方
関連記事:ISOで求められる是正処置とは?要求事項に適合させるための対応手順と是正報告書の書き方

品質目標および目標達成状況の管理が不十分

品質目標が適切に設定されていない、または設定されていても、その達成状況の確認および評価が十分に行われていない場合も、サーベイランス審査で指摘されやすい事項の一つです。例えば、品質目標が抽象的で測定できない内容になっている、達成状況を確認する指標・評価方法が明確でない、などが該当します。

サーベイランス審査では、品質目標が企業・組織の方針、業務内容と整合して設定されているか、また定期的に達成状況を確認し、必要に応じて見直しや改善が行われているかが確認されます。このような指摘を防ぐためには、品質目標の具体的かつ測定可能な形での設定が肝要です。さらに、達成状況を記録・会議体などを通じて継続的に管理し、改善につなげている旨を説明できる状態に整えておく必要があります。

マネジメントシステムが形骸化している

マネジメントシステムが日常業務の中で十分に活用されていない場合も、サーベイランス審査で指摘されやすい事項です。文書・記録が整備されていても、定めた手順が現場で守られていない、内部監査・マネジメントレビューが形式的に実施されているといった状況では、運用が形骸化していると判断されやすくなるためです。

サーベイランス審査では、ルールが業務改善や意思決定にどのように活かされているかなど、実務との結び付きが確認されます。そのため、単に形式的にマネジメントシステムを整備するのではなく、実務に基づいた管理体制を構築し、継続的に運用していくことが、認証維持において必要不可欠です。

リスク及び機会への取り組みが実務に結び付いていない

リスク及び機会への取り組みが実務に結び付いていない場合、サーベイランス審査で指摘される傾向にあります。例えば、リスク分析を実施していても、その結果が一覧表の作成にとどまり、品質目標および業務計画に反映されていないような状況です。

サーベイランス審査では、リスク及び機会が業務改善・対応策として具体的に実務に反映されているか、また計画した内容が着実に実行されているかが確認されます。このような指摘を防ぐためには、リスク及び機会を抽出するだけでなく、具体的な対応策として業務計画および改善活動に落とし込み、その実行状況の継続的な管理が不可欠です。計画と実務のつながりを明確にし、サーベイランス審査の際に説明できる状態を整備しておく必要があります。

関連記事:ISO規格における「リスク及び機会への取り組み」とは?実践方法や審査で見られるポイントを解説

総括

本記事では、サーベイランス審査の基本的な仕組みや審査の進め方、準備・対応方法について解説しました。サーベイランス審査は、認証の維持に不可欠なプロセスであると同時に、組織のマネジメントシステムを見直し、改善を促す貴重な機会でもあります。応急的な対応に終始せず、実効性のある運用に向けた業務への定着を図り、組織の継続的成長につなげる必要があります。

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